今月の地理写真
イベリア半島の中央部、標高千mを超える高原上に位置するアビラ(Ávila)はスペイン中世都市の様子を今に伝えている。
アビラ旧市街の範囲は東西約900m、南北約450mで、ローマ帝国時代の石塀跡に沿って建設された城壁(全長約2.5km、高さ平均12m、幅約3m)が街を囲んでいる。711年に北アフリカからジブラルタル海峡を渡って侵入したイスラム教徒は、瞬く間にイベリア半島全体を征服し、714年にアビラの街を占領した。その後、キリスト教徒が国土回復運動(Reconquista, 718年〜1492年)を起こし、1085年にカスティーリャ=レオン王アルフォンソ6世がアビラの街を奪還した。現存する城壁が建設されたのはこの時期である。
アビラは1985年に「アビラ旧市街と市壁外の教会群」として世界遺産に登録され、それ以降大勢の観光客を受け入れてきた。城塞都市が観光資源として認識される平和な時代に、私たちは生きてる。
写真 旧市街への入口に向かう観光客
写真 大勢の観光客で賑わう旧市街
(2008/9 片柳撮影)