今月の地理写真
山形県尾花沢市にある銀山温泉は、最上川支流の銀山川の両岸に大正から昭和初期にかけて建築されたモダンな三層四層の木造建築の旅館が立ち並ぶ、山形を代表する温泉地の一つである。川には橋が多くかかり、また石畳の歩道にはガス灯が並んでいる。
15世紀頃に延沢銀山の開発の中で温泉が発見されたといわれている。17世紀に銀採掘が衰退し、閉山した後に、温泉宿が次々に建てられ湯治場として賑わった。1913年の大洪水で温泉街は壊滅したが、その後、復興して現在の温泉街が形成された。
1968年に国民保養温泉地に指定されたが、銀山温泉は、奥州街道から10km以上の山奥に位置するため、長い間、秘湯であった。1983年に、NHK連続テレビ小説『おしん』の舞台となったことで、全国的にも知られるようになった。1986年に「銀山温泉家並保存条例」を制定して、町並みを保存する取り組みが地域ぐるみで行われている。
1999年には、山形新幹線の新庄までの延伸などによって、国内外から多くの観光客が訪れている。
写真② 木造建築がレトロな温泉街
写真③ 建物の修繕による景観保全
写真④ 外装に鏝絵が施されている旅館
(2022年4月 深瀬撮影)