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パンデミック以降の航空旅客輸送

パンデミック以降の航空旅客輸送

2020年に始まったの新型コロナウィルス感染症拡大は、国を越えて社会経済に大きな影響を与えました。海外渡航はもちろん、都道府県の間でも移動の制限が定められる中、航空機輸送も大打撃を受けました。東京国際空港(羽田空港)第2ターミナルでは、東京五輪に対応すべく、国際線ターミナルとしての機能拡張もされましたが、その直後にパンデミックとなり、1回目の緊急事態宣言によって多くの国内線がストップしました。普段であれば全てのスポット(駐機場所)が埋まっていて、分刻みで出発・到着が繰り返されるはずが、ひっそりと静まり返り、飛ぶ予定のない飛行機が数機、留め置きされたままになっていました。

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図:隣接する羽田イノベーションシティから空港西側の駐機エリアを望む(2020年11月28日撮影)

乗り物は移動している時にだけ利益を生み出すシステムです。特に大型旅客機は1機あたり200億円以上の資産であるため、地上に止まっているだけで維持費や税金など多額の負担が蓄積していきます。2020年はターミナルから離れた場所に何十機もの旅客機が留め置かれたままの風景が見られました。

その後、感染症による減便は徐々に緩和していき、東京オリンピックに合わせて建設された空港周辺の商業施設もようやく動き始めました。航空会社はコロナ禍での大赤字を挽回しなければなりませんが、それに加えて2022年からのウクライナ侵攻によりロシア・ウクライナ上空の飛行が制限され、迂回のための燃料加算により、特にアジア・欧州間の航空券が著しく値上げされています。同時期に始まった円安傾向は日本への観光客数の回復に貢献していますが、日本人にとっては海外旅行をさらに高価なものにしています。

(2020年6月1日 永井撮影)

撮影場所

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