今月の地理写真

乾湿風化により分解された荒川河床の円礫

乾湿風化により分解された荒川河床の円礫

荒川上流部の河床には,上流の秩父盆地を経由して運搬されてきた円礫や亜円礫が多量に堆積している.秩父盆地の基盤をなす新第三紀中新世に形成された泥岩は,山崩れなどにより砕屑物となって荒川に運搬され,摩耗作用により丸みを帯びた礫となった.河床に堆積して時間が経過すると,雨水や河川水による吸水膨張と,日射による乾燥収縮を繰り返すうちに,亀裂が生じて分解が進む.泥岩には水を含む分子構造を持つ粘土鉱物が含まれており,同じ時代に形成された砂岩や礫岩に比べて乾湿風化作用により分解されやすい(写真1).すでに分解が進み,直径1㎝弱の角礫になったものある(写真2).

写真は,直径約30cmの泥岩礫.大小さまざまな亀裂により分解され始めている.亀裂に沿ってやや濃い灰色を呈しているのは,水分を含んでいるせいであろう.両手で持ち上げるとボロボロに崩れ落ちてしまい,残念ながらサンプルを採取することはできなかった.

PC046982

(写真1)

PC046969 (1)

(写真2)

(2020年11月 小松撮影)

撮影場所

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