今月の地理写真
徳山ダムは岐阜県揖斐川町に所在している.1957年に事業が開始され,2008年に完成した国内最大級のロックフィルダムである(貯水町66,000万km3).揖斐川の治水を通じ,かつての水害常襲地であった西濃地域,愛知・三重県の輪中地帯の水量安定化と,中京工業地帯への用水供給,水力発電が行われている.徳山ダムの建設に伴い,徳山村(藤橋村への編入を経て現揖斐川町)に所在する8集落の全戸移転が行われ,同県本巣市内にも旧村民の集団移転が進められた.旧村域に所在していた複数の神社は「徳山神社」として同市内で合祀されている(下写真).
徳山村では,15歳になった男子が行う「元服式」が行われていた.一時期の中断を挟み,現在は徳山神社で元服式が催行されている.参加者は徳山村にルーツをもつ15歳の男女となっており,宗教活動を通してダムに沈んだ徳山村の記憶が継承されてきた.
(2022年8月 川添撮影)