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芳賀・宇都宮LRT軌道新設工事

芳賀・宇都宮LRT軌道新設工事

 芳賀・宇都宮LRTの軌道新設工事が、2023年の開業を目指し、宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地(本田技研北門)の14.6kmの区間で進められている。

 芳賀・宇都宮LRT事業は、2013年に宇都宮市によって策定された「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」を契機として整備が進められている。同基本方針では、LRTの導入や、公共がLRTの走行空間などを整備・保有し、民間の営業主体がLRTの運行・日常の維持管理を行う「公設型上下分離方式」の採用が示された。その後、地域における協議や調整を経て、2015年にLRTの運行などを担う「宇都宮ライトレール株式会社」が第三セクター方式によって設立された。この過程においては、LRT運営会社への参画や出資に対する民間企業の動向、LRT新設への反対運動、LRT新設を争点の一つとする市長選挙など、地域社会のさまざまな反応がみられた。

 芳賀・宇都宮LRTは、既存路線の改良や延伸によらない全くの新設路線であり、宇都宮駅から西側への延伸も検討されている。開業後は、都市の人口分布や土地利用、開発軸や交通軸に加えて、自動車社会の中で、公共交通に対する住民の意識がどれだけ変化するのだろうか。交通事業としての収支が注目されがちであるが、中長期的に都市全体の価値をどのように変化させることができるのか、という観点による評価が望まれる。

(2020/11 山田撮影)

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