今月の地理写真

長野県犀川丘陵の地すべりと棚田

長野県犀川丘陵の地すべりと棚田

 写真は、長野県長野市西部に位置する旧中条村(現、長野市中条地区および中条御山里地区などを含む。以下、中条村と呼称する)の棚田である。

 犀川丘陵に位置する中条村は、起伏に富んだ山間部に集落が点在しており、長野盆地(善光寺平)とはまた異なる景観と生活様式を見ることができる。その景観要素の一つとして特筆すべきものは棚田であり、中条村を東西に走る県道401号線を走ると集落ごとに様々な棚田を観察することができる。

 このような棚田形成の地域的背景として、1847(弘化4)年に善光寺平を震源とし発生した善光寺地震が挙げられる。善光寺地震の発生時、犀川丘陵ではいくつもの地すべりが起こり、各地で甚大な被害が生じた。このとき、地すべりが発生した地点では、現在棚田が形成されている。地すべりによって、水が得やすくなったこと、緩傾斜面ができたことなどが原因として考えられるが、逆に、棚田を作ることが地すべりを防止しているという考え方もある。

 棚田には、山間部で生活する人間の知恵と自然との関係を垣間見ることができる。

(2017/6/14 横山撮影)

撮影場所

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