今月の地理写真

伊予の段畑

伊予の段畑

 四国地方は棚田の優越地域として知られているが、そのなかでも規模で他を圧倒しているものが、「遊子水荷浦の段畑」(愛媛県宇和島市)である。

 宇和島市の西部、三浦半島の北側中央部の遊子地区の最北部が水荷浦である。南予各地で見られる棚田景観が広範囲にまとまって残存している地域である。水荷浦は江戸時代に宇和海の鰯漁業の拠点として繁栄したところであるが、後背地が狭隘で急峻な山地であったため、棚田状の段々畑(ここでは「段畑」という)が開かれるようになり、特にサツマイモ等の作付けがなされた。その後、礫を積んだ段畑の石垣化が進められ、現在につづく景観が形づくられた。近年はジヤガイモ、ネギ等の畑作物の作付けがなされている。

 こうした景観は平成19年7月、重要文化的景観の国内3件目として選定された。愛媛県内ではその後「奥内の棚田及び農山村景観」(北宇和郡松野町)が平成29年に選定された。

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(2015/12 阿由葉撮影)

撮影場所

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