自然界には山地、河川、平野、段丘、海岸、火山、扇状地など、多様な地形があります。これらの地表面の形態、すなわち地形を記述し、その形成メカニズムや形成史を解明する学問が地形学です。地形はさまざまな環境要素と密接に関係があるため、地形を見ただけで地下にある岩石の種類や土壌層の厚さ、潜在的な植生分布、地下水の分布や流動などを推測できるようになり、環境保全にもつながります。また、人間の立場になって考えてみると、侵食・堆積作用、地震による断層運動、溶岩の流下など、地形が変化すること自体が災害ともいえます。したがって、地形を理解すると災害予測にも役立つのです。
現在の地形学では、形成過程や形成史を詳しく調べる発達史地形学の分野と、形成メカニズムを調べるために観測を行う地形プロセス学の二つが主流となっています。その他にも理論地形学や実験地形学の分野など研究手法も多種多様です。