今月の地理写真

復元の進む出島和蘭商館跡

復元の進む出島和蘭商館跡

 JR長崎駅前にある路面電車で「正覚寺下」行に乗車し、「出島」で下車したすぐに出島和蘭商館跡(1922(大正11)年10月12日国指定史跡)がある。

 出島は1936(寛永13)年に、市内に雑居していたポルトガル人を居住させるために築かれた人工の島である。1637(寛永14)年に島原の乱が起こり、1939(寛永16)年の江戸幕府による鎖国令によってポルトガル船の来航が禁止され、出島は一時無人の島となった。しかし、1641(寛永18)年に、平戸にあったオランダ商館が出島に移され、以降、開国までの218年間、日本で唯一西洋に開かれていた貿易の窓口でした。日本とヨーロッパを結ぶ経済・文化の交流が行われ、日本の近代化に大きな影響を与えた。

 明治以降、出島の周辺の埋め立てが進み、私たちが歴史の授業で学習した海に浮かぶ扇形の姿は失われ、現在に至っている。出島の復元整備については、第二次世界大戦後から現在にかけて長崎市が19世紀初頭の出島の姿を復元するための事業が取り組まれている。とくに、近年では本格的な観光スポットとしての整備が進み、2006年から有料施設化している。

 歴史的遺産の復元整備は、ある特定の時代の復元に特化すると、他の時代の要素が排除されるなどの問題が生じる。また、観光の要素が加わることで、歴史的遺産がある地域にメリット・デメリットの影響をもたらす。どのような経緯と内容で、その場所(空間)と記憶の復元整備が進められてきたのかを地理的(地域的)に捉え、問題点やその解決に向けた手がかりを検討することが求められる。

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  復元整備されている敷地内の建物

(2016/7 深瀬撮影)

撮影場所

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